看板屋のデザイナーが「経営戦略史」を習ったら/02

経営戦略史02

こんにちは。クリエイティブ部 小島和人ハモニズムです。

 

前回、経営サイエンティスト「フレデリック・テイラー」の経営術を紹介した「看板屋のデザイナーが「経営戦略史」を習ったら01」

 

今回は、かの有名な自動車王フォードさんのお話。

 

中津511というオルタナティブスペースで開催されている、全4回の「経営戦略史」講座の内容を噛み砕いて、僕なりの解釈でお伝えしています。

 

 

前回同様、かなり僕の主観・想像が入っています。

■車好きをこじらせた青年フォード

後に経営者としてアメリカ中に名を馳せる事となる、無類の車好きの青年ヘンリー・フォードのキャリアは、1891年、一人の技術者としてエジソン照明会社に入社する所から始まる。

 

そう。あの発明王「エジソン」が立ち上げた会社である。

 

■発明王エジソンとの出会い

ある日の夕食パーティでの事。フォードは憧れのエジソンを前に自身の夢を語っていた。

 

 

フォード「僕、車めっちゃ好きなんすよ!!いずれアメリカ中に僕が設計したガソリン自動車を走らせたいんすよ!」

エジソン「ええやんええやんwwわし、電気の方が好きやけどガソリンは確かに合理的ww夢は大きくいこうやwww(誰なんコイツ)」

 

 

今でこそ、電気が自動車生産・販売されるような時代になりましたが、技術的に難しかったものの当時から電気自動車の着想はあったようです。

 

 

天才エジソンに感化されたのか、フォードは入社からわずか2年でチーフ・エンジニアにまで昇進した。

自由にやれる立場になったフォードは照明は放っといて時間と資金と情熱の全てを4輪自動車に注ぎ込み、エジソンの助言も受け1898年までの間に2台の自作4輪自動車を完成させた。

 

 

 

※この頃はまだ、箱+車輪+エンジンをそのまま組み立てた様な簡易なものだった。

 

 

エジソン「毎日早く家に帰ってただけあって、オモロイ車できたやんwwwよっしゃよっしゃwwそれでこれからジャンジャン設けようやww」

フォード「会社辞めますわ!!!!」

エジソン「え?」

フォード「今まであざっした!!」

エジソン「   」

 

 

フォードは、さんざん好き放題した挙げ句の果てにエジソン照明会社を退社し、翌1899年にデトロイト自動車会社を創業するのであった。

※会社は辞めたものの、フォードとエジソンは公私ともに生涯の親友・ビジネスパートナーだったとか。

 

 

しかし、世の中はそんなに甘くはなかった。

 

 

■理想(情熱)と現実(生産管理・マネジメント)

従業員「フォードさん!設計通り車できましたよ!」

フォード「ほんまか!見せてみ!」

従業員「どうですか!!いいデキでしょう!!」「あと、ちょっと値段高くなってしまいました」

フォード「・・・・・・(ヤバイヤバイ。。クソポンコツやん。。でももう後に引かれへん。。)」

 

 

数ヶ月後

 

 

従業員「フォードさん。わいらの車全然売れませ、、

フォード「解散」

 

 

 

デトロイト自動車会社-解散

 

 

 

マネジメントが上手くいかず、品質・価格等全てにおいてフォードが求めるレベルに達する事ができなかったのである。

それからカーレースへの参加、資金集めなど数々の失敗を繰り返しながら鵜用曲折を経て、その名もヘンリー・フォード・カンパニーを創業したヘンリー・フォード。

彼の快進撃はここから始まるのであった。

 

 

 

■伝説の名車「T型フォード」の誕生

当時、4輪自動車は優れた腕を持つ職人が手間ひまかけて製造を行う高級品であり、富裕層のみがターゲットであった。

 

フォード「わいの夢はアメリカ中にフォードの車を走らせる事。」

「その為にはもっと価格を安くして生産スピードも上げなあかん。ちゃんと考えな昔の二の舞になるし。。。一つ一つの工程は大事にせなあかん。従業員ももっといるけど、賃金払えるんやろか。。」

 

・コストダウン

・生産スピードアップ

・品質の安定化

 

この要素をシンプルに考えた結果。フォードは答えにたどり着いた。

彼は技術者としての才覚に加え、経営マネジメントの才能も開花させて行くのであった。

 

●オーダー性の廃止とスタンダードモデル(T型フォード)のみの集中生産・販売

販売する形状は一つ、内部に使用するパーツも出来るだけ統一、カラーリングも黒一色のみという徹底ぶり(黒塗料の乾きが早かった説有り)。

これにより「職人こだわりの一点もの(受注生産・高価格)」から「基準レベルをクリアした大量生産で誰もが使いやすいもの(量産・低価格)」へのターゲット変換を実現した。

 

オーダーメイドの車とは、初代ガンダムで言う所の「RX-78ガンダム」。オーバースペックの試作機であるガンダムはコストもベラボー。生産期間もベラボーなのである。機体数は少なく貴重なのでエースパイロットにしか配備されない。

それに比べ、T型フォードは言わば「RGM-79ジム」。低コスト・短期間で量産が可能なジムはすぐやられるけど一般兵にまで広く配備され、1年戦争を制したのである。※余談。

 

●作業工程を分業・マニュアル化する「ライン生産方式」を考案

それまで4輪自動車は優れた技術・知識・経験を持つ職人にのみ生産する事ができた。

 

 

・フォード自動車工場

従業員A「わいはエンジン置く」

従業員B「わいはネジ締める」

従業員C「わいはカバー付ける」

従業員D「わいは色塗る」

 

量産・低価格を実現するため、フォードは職人の作業を細分化し、一つ一つの作業を単純化・マニュアル化する事で技術・知識・経験の有無に関わらず誰でも作業する事が出来る様になった。(ベルトコンベア式の流れ作業)

 

これらの政策により、当時平均$3,000〜4,000、安い物でも$1,000だった4輪自動車を$825という低価格での販売を実現し、最終的には$300という超低価格での販売を実現させた。

 

伝説の名車「T型フォード」の誕生である。

泥よけのフェンダー等、合理的な形状パーツが採用された事でデザイン性も上がっている。

当時、デザイン流行の「機能主義」を表したと言えるデザインである。

※しかし、徹底した低価格重視のため20年に渡ってフルモデルチェンジを行わなかった結果、やがてマーケットから取り残されて行く事になるのだが。

 

 

■大量生産+高賃金の「フォーディズム」

この低価格路線は見事に結果を残し、20年程かけアメリカの4輪自動車一般化を果たし、販売ターゲットを世界へと広げる。

そしてT型フォードの好調に連動する様に、在籍する従業員の賃金は全米TOPとなった。

 

安価な製品を大量生産しつつ労働者の高賃金を維持する「フォーディズム」の誕生である。

 

 

フォードは従業員に高い賃金を支払う事を惜しまなかった。そこが前回のフレデリック・テイラーの「科学的管理法」の時代との差である。

決して人情の問題だけではなくビジネスとして高賃金を支払う。そこにフォードの経営能力の高さを感じられる。

 

■以外な所に落とし穴

フォードが20年の間、4輪自動車を一般化し従業員への高賃金を政策して行く中で、同時にアメリカ経済全体としても成長が進んでいた。

 

 

フォード「給料めっちゃあげるから、みんな頑張ってや〜wwwウチの商品めっちゃ売れてるで〜www」

従業員「仕事めっちゃおもんない」

従業員「もっとおもろい事したい。辞めよかな。

フォード「ちょ。。待って。。。。」

 

仕事が溢れ、生活的にも精神的にも豊かになった大衆は単純作業を嫌忌するようになっていた。

試用期間で辞めていく者が後を絶たなかったという。(この時、離職率は約400%)

 

 

世の中の「幸福度」に対する認識は賃金から「心の豊かさ+賃金に変化していたのである。

 

■「やりがい」は重要、だが

自分の車をアメリカ中に走らせるという自身の「情熱」で成功を収めたフォードであったが、奇しくも「高賃金」だけでは「情熱」を感じられなくなった大衆はフォードの元を去って行った。

 

これは現在の日本の若い世代では、さらに色濃く現れていると思います。

全ての人が当てはまるわけではありませんが「高収入の仕事」よりも「やりたい仕事」「好きな仕事」を選ぶ傾向にあると思います。

僕自身、「クリエイティブの仕事は好きでやっている。」とはっきり言えます。

 

何となくでも最低限、生きて行け、なおかつエンターテイメントで溢れた今の世の中では当然の事だと思います。

しかし、「好きな仕事」に就いている人間は、それ以外の人間に「お金と時間」を奪われる可能性が高いです。

 

 

「好きでやってるんやろ?」等と言う言葉を盾に、言いたい放題される可能性が高い。

 

 

そこで重要なのは「自分自身の技術・経験・感性に対する自信」です。

そして「自分自身の技術・経験・感性に対する自信」があれば逆に「お金と時間」を要求する事が可能です。

どちらか、ではなくどちらの感覚も持っていれば自分のアイデンティティを確保しつつ、ストレス無く生活できると思います。

 

 

 

最後は労働に対するモチベーションで終わりましたが、次回はの「エルトン・メイヨー」さんの、従業員のモチベーションと生産能率の関係性についての研究に繋がります

 

それではまた次回。

 

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